Home >プログラム概要:プログラムコーティネーター挨拶
「グローバル原子力安全・セキュリティ・エージェント教育院」
―ご挨拶-
プログラムコーディネーター 齊藤正樹 |
石油資源が枯渇に向かう一方、新興国のエネルギー消費量は爆発的であります。エネルギーの安定長期確保は喫緊の課題であり、多くの国が原子力導入と自然エネルギー開発をそれぞれ進めています。日本は原子力研究・開発・利用の路線を進み、世界に誇れる日本の原子力技術を開発してきました。
この様な状況下において、下記の重要な事項が近年生じました。
- 2001年9月11日、米国において大規模な国際テロが発生した。原子力発電所も国際テロのターゲットとなっていた。
- 2008年7月に我が国で開催されたG8洞爺湖サミットにおいて、原子力3S(Safety(安全)、Security(核セキュリティ:核テロ対策)、Safeguards(保障措置/核不拡散))の重要性が議論され、日本が3Sのイニシアチィブをとることを宣言した。
- 2010年4月にワシントンで開催された核セキュリティ・サミットにおいて、我が国が、世界の核セキュリティ強化のための支援センターを設置することを表明した。
- 2011年3月11日に発生した東日本大震災による福島第一原子力発電所の過酷事故(大規模原子力災害)が発生した。
この様な状況下においても、世界的には、持続的発展を支える適正規模の原子力は必須であると考えられています。また、日本の使命は、福島原発事故を早急に収束させ、事故の教訓を取り入れ、世界の原子力発電所の究極の安全運転に貢献することであります。 しかし、それを担当する人材の養成が不十分であり、世界に誇れる本学の原子力教育資源を基盤として、国内外の原子力関連の産官学界で国際的リーダーとして活躍する人材の養成が私たちの重要な使命であります。
このため、本学位プログラムを通じて取り組む「解決すべき課題」として、「人類の生存基盤を脅かす核拡散、核テロ、大規模な原子力災害や緊急被ばく問題等のグローバルな原子力危機」(原子力安全・セキュリティ分野)を設定いたしました。この課題の解決が、平和で安全・安心な生活を保障する人間社会の構築に大きく貢献するものと考えています。そして、「養成すべき人材像」を、原子力安全・セキュリティ分野において、高い国際交渉能力を有し、国内外の原子力関連の産官学界で国際的リーダーとして活躍する人材「グローバル原子力安全・セキュリティ・エージェント」としました。
本プログラムに選抜された学生は、新たに設立する全寮制の「世界原子力安全・セキュリティ道場」に入門し、他の学生と寝食をともにし、お互いに切磋琢磨することを期待しています。なお、道場には教員を師範代として一緒に住み、学生と議論を大いに交わすことを通して、学生の世界のリーダーとしての自覚を高めることを期待しています。
本プログラムの特色を纏めると以下のとおりです。
- 新入生コース室制度とラボ・ローテーションの実施:
平成20年10月修士課程入学生から既に実施していますが、修士課程入学後の半年間は研究室に所属せず新入生コース室に常駐し、基本コースワーク科目を履修するとともに、3研究室を訪問して多様な世界最先端研究を学びます。 - 「世界原子力安全・セキュリティ道場」への入門:
入学半年後に、本プログラムに選抜された学生は全寮制の道場に入門し、他の学生と寝食をともにし、お互いに切磋琢磨することを期待しています。 - 2回の選抜実施:
修士課程入学者約30名に対して入学半年後に第1次の選抜を実施し、15名程度を本プログラムに選抜し「世界原子力安全・セキュリティ道場」へ入門しますが、修士課程修了時に第2次の選抜を実施し、本プログラムの優秀な博士課程の学生として6名程度を選抜します。
原子核工学専攻は、1957年に設置されて以来、半世紀以上、一貫して原子力教育を実施してきました。「原子力教育資源」では世界のトップレベルであります。これらの教員が一致団結して、本プログラムを担当することにより、高い国際交渉能力を有し、国内外の原子力関連の産官学界で国際的リーダーとして活躍する人材「グローバル原子力安全・セキュリティ・エージェント」の養成を行います。
2011年12月7日